読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

艸砦庵だより

河村正之のページ 絵画・美術、本、山、旅、etc・・・

山行記-9 快晴の本社ヶ丸に登ってきた (2015.11.5)

 

 しばらく間が空いた。7月下旬の奈良倉山のあと、9月下旬にグランドキャニオンとヨセミテを歩いたが、それは「トレイル歩き」であって、今思い返してみても「山登り」をしたという気がしない。もちろん、それはそれで素晴らしい体験ではあったが。10月には何度も行こうと思ったのだが、都合やら気分やらで、延期につぐ延期。やはり核心部はいつも出発するまでである。

 

 ともあれ、例によって浅い4時間睡眠で家を出る。平日の河口湖駅から天下茶屋行きのバスには10名ほどの(中)高年ハイカーが乗っていたが、全員三つ峠登山道入り口で下車。天下茶屋からは素晴らしい富士山が見える。まるで絵葉書のよう。太宰ならずとも、少々ケチをつけたくなる気がしないでもない。茶屋の人達も出てきて、盛んに感嘆している。こんなにきれいに見えるのは一年でそう何度もないとの由。九合目あたりから上は多少冠雪しており、夏の黒富士の鈍重さに比べれば確かに絵になっている。

  ↓ フジヤマ 左からの一条の雲が効いている。(クリックすると拡大します。)

f:id:sosaian:20151107010831j:plain

 実は今回のコース設定では悩んだ。というのはこのルートであれば、本来は逆コースの笹子から登るべきなのだ。笹子駅の標高は602.8m。今回の最高地点の本社ヶ丸山頂が1630.8mだから標高差は1028m。天下茶屋からだと標高差は330m。その差は698m。時間で言えば2時間違う。この差は大きい。私は、山登りとは本来下から登るものだから、なるべく標高の低いところから登り始めるべきだと思っている。ヨセミテのトレイルでも感じたことだが、上からゆっくり下るだけというルート設定は、その途中の行程がどれだけ快適なものであろうと、なにかズルというかカンニングをしているような気がしてしかたがない。必ずしも労多い方がエライとも思わないが、やはりその後の達成感というか、納得感というか、満足度が違う。しかしアメリカではあれほど早寝早起きが苦にならなかったのに、日本に帰ればあっという間に逆戻りの生活で、覚悟の上とは言いながらやはり寝不足山行は辛い。それでなくても日帰りで標高差1000mというのは少々きつい。危険でもある。おまけに中三カ月空いたとなれば、この際、背に腹はかえられぬ。いっそのこともっと楽な山に変更しようかとも思ったが、この山は昨年の同時期に隣の鶴ヶ鳥屋山に登ってすっかり気に入って以来、どうしても今年中に登りたかった山なのである。ということで、天下茶屋からのコースに決定。今後もこうした、少しでも楽なコース設定というのが増えてくるかもしれないが、まあそれも仕方がないだろう。

 

 そうなればやはり20分で主稜線というのは楽だ。登り始めに多少のモミジの紅葉はあったが、時期は少し遅かったようで、稜線付近の橅などはすでに落葉している。多少の高低差はあるが、ゆるやかな登り下りを繰り返し、八丁山とおぼしきピークを過ぎて、清八山1593mに12:55着。ここは展望が開け、まことに気持が良い。目の前のどっしりと暖かい御坂山、黒岳、釈迦ヶ岳の御坂山塊から、玲瓏の南アルプス、水晶細工のような八ヶ岳、茫洋と重厚な奥秩父、遠く白く輝く北アルプスまでの大展望。こんなに展望に恵まれたのも久しぶりだ。ただし富士山には早くも雲がかかり始めている。

  ↓ こんな感じ。

f:id:sosaian:20151107012236j:plain

  ↓ 左手前、御坂山、その奥、黒岳。右の三角形が釈迦ヶ岳。遠景は南アルプス

f:id:sosaian:20151107011047j:plain

 ↓ まさに金字塔、甲斐駒ケ岳

f:id:sosaian:20151107011257j:plain

 ↓ 八ヶ岳ダ・ヴィンチの言う空気遠近法が納得できる。

f:id:sosaian:20151107011522j:plain

 

 27年前に歩いたはずの清八峠(むろん何も覚えていない)を通過し、本社ヶ丸へ向かう。すぐそこと思えば、小さな登り降りを繰り返し、意外に遠い。30分以上かかってようやく山頂へ13:25。岩混じりのすっきりとした山頂だ。ここも360°の大展望。人っ子一人いない。満足である。久々の山頂らしい山頂を堪能した。

  ↓ 頂上手前で休んでいたおじいさん(?)二人連れ。この日会った唯一の登山者。

f:id:sosaian:20151107011652j:plain

  ↓ 頂上。例によって「秀麗富士」の看板が不要。

f:id:sosaian:20151107011913j:plain

 あとは楽しみにしている角研山までの山稜だ。昨年行った鶴ヶ鳥屋山への稜線のように痩せた岩稜まじりかと予想していたが、むしろ穏やかな気持ちの良い尾根道である。葉の落ちた明るい橅の樹林帯をのんびりと進む。

  ↓ こんな感じ。

f:id:sosaian:20151107012401j:plain

 角研山着14:38。ここまで来ればあとはもう見えてきた。急に痩せてきた岩場混じりの尾根道を辿り、笹子への分岐を確認して、下り始める。疲れも出てきた。落葉に埋まった山道をゆっくりと下る。林道を横切り、下るほどに紅葉が増えてくる。光線の具合が今一つなのが残念だが、条件が良ければ素晴らしいだろう。やがて船橋沢に降り着き、二三回の渡渉を交え沢沿いの道を辿れば、自然に笹子駅に導かれた。

 かくて今年の宿願(?)の一つであった本社ヶ丸を登ることができた。河口湖周辺、あるいは笹子周辺はなぜかけっこう好みなのである。まだいくつか課題が残っているが、また来年も何回か行くつもりだ。

  ↓ 紅葉 黄葉

f:id:sosaian:20151107012529j:plain

   ↓ 稜線上でみかけた、たぶん鹿の齧った痕。ちょっと前衛書道風。

f:id:sosaian:20151107012608j:plain

 

コースタイム天下茶屋10:25~主稜線10:45~八丁山11:55~清八山1593m12:55~本社ヶ丸1630.8m13:25~角研山14:38~笹子への分岐15:00~船橋沢16:00~笹子駅16:25(2015.11.5)