艸砦庵だより

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プロフィール写真について~光陰矢の如し

 1年間ブログのプロフィールの顔写真の欄が空白というか、グレーのシルエットのままですごしてきた。今現在の素顔をそのまま晒すということに抵抗があったからである。ありていに言えば、私は今の自分の顔があまり好きではないのだ。

 グレーのシルエットのままでも高松次郎*60年代以降に活躍した主知的な現代美術の作家。影をモチーフとした絵画を制作したりしている)的な味わいがないわけでもないが、そうしている人は多い。それは普通のことだが、見ようによっては自分を見せたくないという妙な情念めいたものが垣間見えてくるようでもあり、そう思えば不気味と言えなくもない。かといって飼い猫の写真を載せるというのもありがちすぎる。

 ブログを含めたネット上の表現世界では個人情報やプライバシーは当然ある程度以上秘匿抑制されるべきものとされている。当然と言えば当然。だがそれはそれとして、やはり多少はその人となりを暗示というか、象徴する程度の淡い肉体性のようなものも少しは欲しい。

 そんなことをモヤモヤと感じ思っていたのだが、今回ふと思いついて昔の写真を載せることにした(それはそれでよくある手でもあるが)。昔も昔、ちょうど40年前、20歳の時の大学の受験票の写真である。よくそんなものを持っていたなと自分でも思うが、あの頃カメラを持っている人は、自分を含めて、周囲にそう多くはいなかった。さらに私は昔も今もカメラ・写真は好きではない。そのため若いころの写真というものが数少ない。だから希少性ということもあるが、3年も浪人したあげくにようやく合格した年の記念の受験票ということで保存していたものである。

 

 光陰矢の如し。今より体重は15㎏以上軽く、髪は多く、長く、あくまで黒い。おまけに少しとれているが、パーマまでかけている。スキャンした画像を見ながら、感慨は深い。あの頃の70年代の空気まで映っているように思えるのは、しょせん懐古趣味的な感慨でしかないだろうが、他者の眼にはどう見えるのだろうか。何だか指名手配の過激派の写真のようにも見えるが、気のせいだろう。ブログ上で見る限りごく小さな画像なので、ここに拡大したものを揚げておく。

 

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(記:2016.1.2)