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艸砦庵だより

河村正之のページ 絵画・美術、本、山、旅、etc・・・

中身の濃かった裏山歩き―金剛の滝綴景 2016.7.17

 たまたまちょっとした用事があって帰って来ていた息子が、今日の予定が流れたとのことで、急きょ一家三人で近くの金剛の滝まで散歩に行くことになった。まあ単なる「裏山散歩」で、特段ブログにアップするほどのことでもないのだが、ここのところ更新をサボり気味の観もあるし、ちょっと書いてみた。

 

 7月17日。曇天。蒸し暑い。二日前に4日間の岩手の山旅から帰ったばかりで、まだその疲れも抜けきっていない。息子や女房が行こうとでも言わない限り、とてもこんな日に裏山歩きなんぞに出かける気にはならない。

 歩けば20分の広徳寺の駐車場まで車で行く。山百合の花が美しい。寺の左手から山道に入る。あいかわらず湿度は高いが、多少の冷気・山気が心地よい。尾根から金剛の滝へ向かって下り始めるころから、何やら妙な音(声?)が聞こえてくる。獣?まさか。どうやら法螺貝のようだ。近くの今熊山(今熊神社)で何か行事でもやっているのかななどと考えながら、金剛の滝のある沢の入口に差しかかると、何やら白装束の異様な、修験道行者風の若い人物が法螺貝をもって立っている。怪しげだが悪い人でもなさそうだ。話しかけてみると、暇なときに近所迷惑の心配のないここによく練習しに来るのだとおっしゃる。う~ん、迷惑でもないが、付近を歩いているハイカーにはあの音は結構不気味がられるのではないだろうか。しかも白装束の修験行者風スタイル。別にどこかに所属しているということもないそうで、つまり修験行者マニアなのだろう。まあ面白いものを見たということで、友好的に別れる。

 

 ↓ 法螺貝の練習中の行者風の方

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 金剛の滝は普段よりわずかに水量が多いようだが、まあ変わりはない。手前の小滝の釜(滝壺)にも前回と同様に小さな岩魚が何匹も泳いでいる。

 ↓ 手前の小滝 その右にトンネルがある

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 ↓ トンネルをくぐる

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そう言えば、この金剛の滝のある沢は本流(と言ってもごく小さなものだが)の逆川(秋川支流の盆堀川のそのまた支流)に合流する手前で伏流となっており、本流はその合流したすぐ先で埋没した堰堤となっている。岩魚は一説によると伏流の間を、つまり地下の石の間を進む(泳ぐ)という説もあり、そのこと自体は必ずしも否定しきれないが、ここは直下が埋没した堰堤となっており、つまりは行き止まりなのである。さらにその岩魚の泳ぐ釜の先はすぐ落差7、8mの垂直に近い金剛の滝となっており、ここはどうにも溯上できない、いわゆる魚止めの滝なのである。つまり岩魚の棲息流域はその間のわずか数十mに過ぎない。こんな狭い範囲で自然の状態で棲息できるものだろうか。私がそこに岩魚がいるのに気づいたのは今年の冬。それまでは沢の形態からして当然いないものだと思い込んでいたせいもあり、岩魚を見たことはなかったように思う。近年放流されたものなのだろうか。こんな狭い流域に放流したとすれば、それは気の毒というもの。それとも昔から自然に居ついて長らえてきているのだろうか。真相はどうなのだろう。

  ↓ 金剛の滝 落差7,8m

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 小滝の右のくりぬかれたトンネルをくぐりぬければ金剛の滝の滝壺である。さらに右上から上に向かって鉄の階段が設置されており、滝を高巻いて上流沿いに行けるコースがある。数年前に歩いたことがあるが、近年は荒れていて通行禁止になっている。数段上がってふと足元を見ると、なにやら風情ある紫ピンクの花が咲いている。女房いわくイワタバコとの由。名前は知っていたが実際の花を見た、あるいは認識したのは今回が始めてだ。気がつけばあちこちにある。往路を戻りながら注意してみるとけっこうな群落がある。なかなか良いものだ。葉っぱが煙草の葉に似ているからイワタバコ、帰宅後調べてみたら若葉は食べられるそうでそこからイワヂシャ(岩萵苣)とも言うとのこと。今度食べてみようか。山草としても人気があるらしいから、盗掘されるおそれもあるので、場所はあまり詳しくは書かない。

  ↓ イワタバコ 花弁は5枚

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  ↓ 群落を下から見上げる

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 沢の出合いで先ほどの法螺貝修行中の若者に再び会う。二言三言立ち話。法螺貝の音階は三つだけと言うことを教わった。

 

 帰路は逆川沿いの道を辿る。

  ↓ 危なっかしい橋を危なっかしく渡る人 右に安全なルートがあるにもかかわらず。

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 途中でマタタビ(木天蓼)を見つけた。良く見ると実が、それも虫エイ(営?)といって「マタタビアブラムシ」が寄生し瘤状になった、より価値(滋養強壮)効果の強い実が生っている。さっそく飼い猫へのお土産用の葉っぱ少々とともに、少しばかり採取する。

 

  ↓ マタタビ

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  ↓ 虫エイのマタタビ 猫は完全にラリっていました。

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 気を良くしながらも、こんな時期にこんなうっとうしい山道を歩く人もそうはいないよね、などと話しながら歩いていると前方から何台かの自転車がやって来た。ふと見ればその先頭は何と、知り合いというかお友達の各種ガイドのジンケンさん。お客さんを連れてのガイドの最中なのだ。サービスにマタタビやイワタバコのことを教えてあげる。

 お気をつけてと別れてから、いや~奇遇だと言いつつ、ふと足元を見ると、なんとまたしてもイワタバコの群落。そこは護岸工事された目にふれにくいところなのだが、条件が良かったのか、けっこうな規模の群落だった。

   ↓ 再びのイワタバコの群落を見下ろしたところ。上部が川床

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 沢戸橋からは右岸の道を辿る。二三年前に転落死亡事故があって、現在は一応通行禁止となっているが、その少し前に改修されたばかりだったので、むしろ歩きやすい。それにしても事故はなんでこんな所で?という所で起きるものなのだ。

 秋川本流は曇天にもかかわらず、大勢の水遊び、バーベキューの人達でにぎわっている。それを横目で見ながら、意外なほど中身の濃かった、2時間ほどの裏山歩きを終えた。

                        (記:2016.7.17)

   ↓ 佳月橋から曇天の秋川本流。

   写真ではわかりにくいが、大勢の水遊び客でにぎわっていた。

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