艸砦庵だより

河村正之のページ 絵画・美術、本、山、旅、etc・・・

週刊エコノミストに名前が載った??

 とある珍しく雪の降っている日、高校同期の友人Sさんからラインがきた。

 「凄いよ。」「ゴルフメンバーのY君からの情報です。」として、写真が一緒である。週刊エコノミスト1月23日号。 ??? 週刊エコノミスト?? 知らない。猪熊建夫・ジャーナリスト? 知らない。

 

 「名門高校の校風と人脈 273」防府高校山口県立・防府市)とあるから、経済誌の連載記事であることは間違いない。防府高校は私の母校である(名門高校ねぇ~・・・)。この手の記事というのは、無難ではあるが、経済人にとって意外と仕事上で役に立つかもしれない雑知識の提供ということだろうが、それが私と何の関係があるのか。

 

 ↓ これが問題の誌面です

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 送られたスマホの画面を拡大して見ると、学校の歴史、現状、進学率などから始まって、最初に種田山頭火ときた(3年制の周陽学舎を卒業後山口中学の4年に編入)。ふ~ん。清少納言が幼少期を防府ですごしたというのは初めて知った。さすがに高校とは関係ないだろうとは思うが、雑学的に案外面白いではないかと思った。しかし、次いで芥川賞受賞の高樹のぶ子直木賞伊集院静の紹介とからめて「防府には昔から文芸の血が脈々と流れていたのではないか」というのには賛成しかねる。

 企業関係、これは掲載誌の性格上、大事なのだろうが、ヤフーの社長がOBだというのは、そうなのか、知らなかった!と思うぐらいで、他は当然全く知らない。関心がない。

 他に、程度はともかく、私が知っているのは、アナウンサーの山根基世自由学園を創立した羽仁もと子の旦那、作曲家・鈴木淳伊東ゆかり/小指の思い出、八代亜紀/なみだ恋 確か天満宮宮司の息子だったと記憶している)、俳優・歌手の藤田三保子(NHK朝ドラ「鳩子の海」)、俳優の前田吟(中退だけど)ぐらいである。落語家二人は知らない。市長が三代続けてOBというのは地域的に当然と言えば当然だろう。

 

 最後の方に「登山部(われわれの頃は山岳部)の活動がめざましく、インターハイ(全国高校総合体育大会)で男子が7回、女子が6回全国制覇を成し遂げている」とあったのは、やはり(微妙なところもあるが)うれしい。

 

 そうした中に、「美術では、洋画家の田中稔之、河村正之、絵本作家の降矢加代子がOB、OGだ。」とあった。

 

 ↓ 上から4段目、中央左よりに

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 ↓ ちょい切り取り、拡大

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 降矢加代子の名は分野が違い、名前のみかすかに知っているが、作品については不勉強でほとんど知らない。

 しかし、田中稔之さん(故人 行動美術協会会員 元多摩美術大学教授 お世話になりました)はともかく、なんで次が私なのか、他にはいないのか、誰かいるだろう、というのが最初に思ったこと。

 明治10年(1877年)創立の私立周陽学舎から数えれば、140年。その中で美術関係ではたったこれだけなのか!?ということだ。私ごときの名があがるというのはおかしいのではないのか、と思うのである。言うまでもないが、私は有名ではない。少なくともいわゆる画壇では無名である、いや無名に近い(何でここでこんなことを言わなきゃならないのか)。

 といっても、あの人がとか、その人をとか、すぐには思い浮かばない。しばらく考えても思い浮かばない。確かに美術関係の人材が絶対的に少ないのは事実だろう。そう言ってしまえば、この話はそれで終わる。

 山頭火はともかく、高樹のぶ子伊集院静をもって文芸の血云々とはさすがに言い辛いが、文芸的風土とぐらいは無理に言えば言えなくもないかもしれない。だが地元における両者への遇し方などを見ていると、やはりとてもとてもというのが本音。とはいえ、美術よりははるかにましだ。

 しかしまあ、そのへんをこれ以上ぐだぐだ言ってみても、発展性はないし、私の絵描きとしてのひがみ根性のようなものが浮かび上ってくるだけかもしれないから、これ以上言わないことにしよう。微妙に複雑な気分だけが残っているが...。

 

 視点をかえれば、Sさんが言うように「凄~い」のだろう。むろん私が「凄い」のではなく、「凄くない」私の名前があがったことが「凄い」。本人の全くあずかり知らぬところで、正当な評価とも思えぬ扱い(?)をされたということだ。

 執筆者については全く知らぬ人であるが、記事全体をみれば、同窓会名簿の略史などを基本資料として、ネットで検索して、といった調べ方をして書いたような文章である。もちろんこの連載は学術的な、あるいは歴史的な、文学的な、深い考察を求められているような記事ではない。間違っていさえしなければ差し支えないのだ。

 したがって、この話には落ちも教訓もないのである。珍しい体験であることは間違いないから、一応書いてみて、アップすることにした。歴史の闇に埋没させるだけなのも、ちょっともったいないような気がするし。

 Sさん、一応、ありがとう。長く生きているといろんなことがありますね。

 

 ところでこの週刊誌エコノミストはどこに行けば買えるのだろうか。コンビニにおいてあるのだろうか。なさそうだ。近々大きな書店のある立川や都心に出る予定はない。わざわざアマゾンで買うというのもなあ~。せっかくだから一冊手元に置いておきたいような気もするのだが・・・。

                      (記:2018.1.22 雪降る日)