梅雨がなかなか明けない。東南アジアやアフリカの雨期・乾期のそれとは違うにせよ、言い換えればまあ日本の雨季である。雨季には雨季なりの風情があることは認めるにしても、心身は不調気味。
路上や擁壁や樹々に蝸牛が這い出る。蝸牛のフォルムを見るのは好きだ。
↓ 近所で見かけたカタツムリ
そういえば、蝸牛を絵の中に描いた作品があった。2月から3月にかけて描いたものだから、梅雨とは直接は関係ないが、まあこの季節にふさわしい季題みたいなもの(?)。
前段として、すでに「小ペン画ギャラリー-5 蝶」で紹介済みの221.「肩に蝶の翅」がある。
↓ 221.「肩に蝶の翅」
2020.3.5-6 10×7.9㎝ ミャンマー紙にペン・インク・色鉛筆・水彩
この作品の人物の髪型に、なんとなく巻貝のフォルムが見て取れてしまう。無意識にだが、ピエロ・デラ・フランチェスカの有名な「ウルビーノ公夫妻の肖像(ウフィツィ美術館)」が下敷きにあるのだろう。
↓ ピエロ・デラ・フランチェスカ「ウルビーノ公夫妻の肖像(ウフィツィ美術館)」
昔から不思議な髪型だとは思っていた。巻貝のように見えるならばアンモナイトにしてしまえ、いやいっそのこと身を伸ばした蝸牛にしてみたらどうだろう。そうして描いたのが222.「装い(蝸牛を装う)」。
↓ 222.「装い(蝸牛を装う) 」
2020.3.6-8 10.5×7.5㎝ 雑紙にペン・インク
グロテスクなエロチシズムというべきか。現れたシンボリズム。バッドテイスト?これはこれで、好きな世界。
勢いに乗って223.「愛の装い」と224.「 愛」を続けて描いた。
↓ 223.「愛の装い」
2020.3.7-8 17.3×10.9㎝ ミャンマー紙にペン・インク・顔彩
↓ 224.「 愛」
2020.3.10 10.5×7.5㎝ 雑紙にペン・インク
さらにすでにひと月ほど前に完成としていた216.「家庭教師」に蝸牛を描き加えた。
↓ 216.「家庭教師」
2020.2.13 3.11 9.6×6㎝ 和紙にドーサ、ペン・インク・水彩
それでほぼ蝸牛の憑き物は落ちたようである。
↓ 2013年 バリ島の蝸牛
次いで言えば、私は他の貝類と同様に、蝸牛を食べるのも好きだ。フランス(だけとは限らないが)料理店のエスカルゴ。美味しいことは美味しいのだが、あれは養殖した蝸牛の身だけを缶詰にし、それを調理して別の殻に入れて出すということらしい。
小笠原母島に滞在していた時には、昔食用に輸入し、野生化したという大きな蝸牛がそこいら中に這い回っていた。食べようと提案したが、居候先のI氏に断固として拒否され、食わずじまい。田螺(タニシ)も長く食っていない。
数年間に行ったモロッコのフェズのバザールの端っこで、ターメリックとレモン風味で塩ゆでにしたのを売っているのを見つけて食べてみた。悪くはないが、それほど美味いものでもなかった。まあ、蝸牛は陸上に棲む巻貝なのだから、基本的にはサザエやツブ貝と同じようなものだ。
↓ モロッコ、フェズのバザールで
↓ こんな感じで。ターメリック+レモン+塩。
→ 日本で食べるのと同様に爪楊枝で。
(記:2020.7.25)