艸砦庵だより

河村正之のページ 絵画・美術、本、山、旅、etc・・・

2019-01-01から1年間の記事一覧

養老渓谷 小逍遥

先日20日、所用があって千葉県いすみ市に行った。御宿に一泊後の帰途、帰りがけの駄賃に養老渓谷を再訪。九月の台風の影響で一部通行止めの個所(梅ヶ瀬渓谷は全面通行禁止)があったが、弘文洞跡や粟又滝などを見た。 房総半島の房総丘陵は最高峰が愛宕山…

秌韻・外覧会-3 久しぶりの金地テンペラ3点

金地テンペラ(黄金背景テンペラ)は私の制作の出発点の一つであり、長くこだわってきた技法である。しかし、その制作上、技術上の様々な制約と、志向する表現方法のギャップが大きくなり、ここ20年ほどは描いていなかった。数年前にちょっとしたきっかけ…

秌韻・外覧会-2 『花昏』『革命と慈愛』

外覧会:美術館等での展覧会には、一般入場者とは別に、「内覧会」という、関係者を対象としたオープニングセレモニーがある。「内覧会」があるなら、逆に終わったあとからの「外覧会」があっても良いではないかと勝手に作った造語です。 すでに終わった個展…

秌韻・外覧会-1 「祝人(ほいと)」

何かと忙しい。いや、家事・雑事・細事・俗事はさておき、制作に忙しいのである。 先日の西荻窪数寄和での個展の作品を順次「秌韻―外覧会」と称して順次上げていこうと思っているのだが、その余裕がない。 それはそれとして、その時の個展で、ある作品を見た…

中止された「表現の不自由展・その後」と「表現の不自由展 消されたものたち」

あいちトリエンナーレ2019が大変なことになっている。 「情の時代」と題された「あいトリ」、その主要部分である国際現代美術展の中の一展示「表現の不自由展・その後」が、テロ予告を含めた苦情や、政治家の圧力等によって中止に追い込まれたというものだ。…

法事と山と美術館

七月に法事で帰郷することになった。10年近く前に実家を手放し、近年は法事以外で故郷に帰ることもない。せっかくだからと、いつものように高校山岳部同期でここ何年かの旅と山の友、Kに連絡する。さっそく、近場の山登り、美術館、飲み会などがセッティン…

防高山岳部OB会夏山合宿 北海道の山旅・道東三山(雌阿寒岳・羅臼岳・斜里岳)

We climbed Mt. Meakan Mt. Rausu and Mt.Syari in east Hokkaido. These mountains are volcano. Mt. Rausu is World Heritage Site. They were very beautiful and fantastic experience. And I was very tired…. 三年ほど前から高校山岳部時代の数名でO…

個展「耀ふ静謐」 レポート―7 「をみな」に関連して

さて「レポート―7」。 前回に引き続き「をみな」関連の作品。といっても、内容、制作時期等、相互の関連はあまりないのだが、あくまで「をみな」が描かれているということで2点紹介する。 私は時々、過去の他者の作品(のイメージや構図等)を、自分の作品…

大祓形代と水無月祓いのこと

6月14日、近所のTさんが「大祓神事執行」の「大祓形代」を持ってこられた。息子夫婦と孫と合わせて五人分。 これは私が20年以上前に、現在のあきる野市高尾に引っ越してきてほどなく、斜め向かいのというか、当時は住宅が少なく、隣家というべき存在だったN…

個展「耀ふ静謐」 レポート―6 「をみな」について

さて「レポート―6」である。 何を書こうか。どれを紹介しようか。 「ところで、私はいったい何をしたいのか」、という自問自答は胸にしまっておいて、今回は「瓔珞のをみなたち」を中心に紹介することにしよう。前回が「装飾」という具体性というか再現性・…

個展「耀ふ静謐」 レポート―5(フェイスブックおよび「装飾」について、など)

個展(5.13~25 SALIOT)は終わった。 始まって見れば、予想していた以上の規模となった。例えば100号以上6点を含む全50点という点数であり、会期は二週間、会場構成は複雑で広い。また、一般的な画廊ではなく、ビジネス街での企業(製造業)のショールーム…

個展「耀ふ静謐」 レポート―4

個展「耀ふ静謐」 レポート―4 これまでどちらかと言えば、デーハな(?)作品の紹介が多かったので、今回は少し地味めなものを紹介します。 ↓ 736「アララット―いにしえの光」(41.8×59.2㎝ 2016~2018年 版画用和紙/アクリル・彩墨) アララット山は、現…

個展「耀ふ静謐」 レポート―3

674「崩壊と忘却の静謐」と675「豊饒と忘却の静謐」について。そして「SALIOTの照明について。 ↓ 675「豊饒と忘却の静謐/Quietness of fertility and oblivion」 (F300 2014-2016年 自製キャンバス/樹脂テンペラ・油彩) この画像はアトリエで大山富夫君…

個展「耀ふ静謐」 レポート―2

5月3日に始めたばかりのフェイスブック/FBとブログの関係がまだうまく構築できていないのだが、とりあえず、FBに上げたものを一応ブログに再録しておく。 レポート―1と2は、個展の紹介というのが趣旨だったから、カテゴリーとしては「近況・NEW…

個展「耀ふ静謐」レポート ―1

個展「耀ふ静謐」レポート ―1 今回の出品作を何回かに分けて、すこしずつ紹介してみます。 遠隔地で見に来られない方もいますし。 ↓ SALIOT入口 周辺はビジネス街。道行く人はビジネスマンとキャリアウーマンばかり。 SALIOT=ショールーム=ビジネス・商談…

トークショー(トークバトル?)のお知らせ

トークショー(トークバトル?)のお知らせ 5月24日金曜日17時より会場SALIOTにて秋元雄二氏(東京藝術大学美術館館長)との対談(トークショー?トークバトル?)を行います。 これは13日のオープニングレセプションの席でのやり取りが発展して、急…

個展が始まりました

つい一週間ほど前からフェイスブックを始めました。 始めたいきさつはまあ多少あるのですが、それはひとまず置いておいて、とりあえずはFBの速報性と広がりに今さらながら驚いています。 それと同時に、FBのリテラシーやルールを学習しつつ、ブログとF…

『美術の窓』5月号に記事が出ました。

雑誌『美術の窓』5月号に「PREVIEW」として個展が紹介されています。 4月20日に発売されていましたが、このブログにもFBにも、何となく紹介するのを忘れていたというか、怠っていました。 何か宣伝するみたいで、といっても宣伝しているというか、宣伝し…

個展「耀(かがよ)ふ静謐」 展示作業終了 間もなく始まります。

個展「耀(かがよ)ふ静謐」(SALIOT 5月13~25日)の搬入と展示作業が二日間かけてようやく終わりました。(アライ君、タドコロ君には深謝) ↓ 想定外の二段掛けを提案された。やはり私のことを良く知っている有能な助っ人がいるということは、大きい。彼の提…

『メッセージのゆらぎ』と体験的「博士課程・博士論文」のこと ―その5 小笠原逃避行

前稿では製本論文と印刷公表のことを軸に書いた。ここで話は多少前後する。 32歳、1987年3月学位取得。5月製本論文『メッセージのゆらぎ』を提出。10月『論文+作品集 メッセージのゆらぎ』を自費出版。11月個展(紀伊國屋画廊)。 その間の3月の末で、そ…

『メッセージのゆらぎ』と体験的「博士課程・博士論文」のこと ―その4 印刷公表とルサンチマン

学位授与式(1987年3月)は済んだものの、手続きはまだ途上である。 審査会と前後して「製本論文(提出論文?論文提出?)」とか「印刷公表」ということが、次の課題として上がってきていた。 「製本論文」と「提出論文」とか「論文提出」の正式な言い方は…

『メッセージのゆらぎ』と体験的「博士課程・博士論文」のこと ―その3 論文執筆専念の日々

そういえばここまで書いて思い出したが、博士課程を出るその前の年に、出てからの事を考えて、西所沢の自宅の二階を改増築して20畳ほどのアトリエを作ることに決めたのだった。だがしかし、それに要する300万円という資金はなかった。よって、親に「いずれ稼…

『メッセージのゆらぎ』と体験的「博士課程・博士論文」のこと ―その2 博士課程大学院生生活から論文執筆へ(改訂版)

*4月28日にアップした以下の記事において、その後東京藝術大学附属図書館のHPから「東京芸術大学美術博士論文」(http://www.lib.geidai.ac.jp/APHD/ARTPHD.html)のサイトを確認したところ、いくつかの年度の間違い等を発見したので修正した。また前稿…

『メッセージのゆらぎ』と体験的「博士課程・博士論文」のこと ―その1 博士課程入学まで

あまり認めたくはないのだが、私はヤフオクの、まあヘビーユーザーに近いだろう。波はあるが、ここ10数年、外国切手、マッチラベルから外国紙幣、蔵書票など、さまざまな紙物コンテンツの蒐集にハマり続けているのである。だが、今ここで言おうとしているの…

個展のお知らせ 「河村正之展 耀ふ静謐」 SALIOTギャラリー 5月13日~25日

個展のお知らせ 「河村正之展 耀ふ静謐」 5月13日(月)から25日(土)まで港区三田 SALIOTギャラリーで個展を開催します。(日曜日休み) SALIOTギャラリーはいわゆる画廊ではなく、ベアリングを主軸としながら、新たにスマートLED照明を製造、展開す…

「小さな桃源郷」 多峯主山の秘密の尾根

*タイトルにある「小さな桃源郷」は少し前に読んだ『小さな桃源郷 山の雑誌アルプ傑作選』(池内紀編 2018年 中公文庫)の書名を借用したものである。 市役所から「肺炎球菌ワクチン定期予防接種の実地について(お知らせ)」というのがきた。封筒に「高齢…

再戦の中尾根から京戸山・ナットウ箱山・達沢山(2019.3.22)

【コースタイム】2019年3月22日 標高差885m 笹子駅9:35~中尾根取付10:40~鉄塔11:05~P1093m11:27~中尾根への分岐11:31~主稜線合流(カヤノキ平の頭と誤認)12:50~中尾根の頭標識/引き返し~カヤノキ平の頭14:12~ヤナギ平15:00~ナットウ箱…

2018年に見た展覧会・国内篇 その2(の前半)

やれやれ。「2018年に見た展覧会・国内篇」の導入としての「8人のマイベスト」があまりに長くなり過ぎたせいで、前後編に分けざるを得なくなったが、ようやく私の「2018年に見た展覧会・国内篇」に入ることができる。 ともあれ以下に私が2018年に見…

作品集『水晶録Ⅱ』発行のお知らせ

作品集『水晶録Ⅱ』発行のお知らせ 『水晶録Ⅱ』が完成しました。 ここニ三年毎年言いつづけていた作品集、3月末完成の予定が、少し遅れましたが4月24日に完成しました。画像はその宣伝チラシです。 前著『水晶録』(2011年2月発行)以来の、2010年から2018…

陽春のリハビリ山行―入山尾根の思いがけぬ結末

2019年の山始め。と、書いてみたが、有体に言って、リハビリ山行である。 先のブログ記事「『週刊女性』に(ちょっとだけ)名前が出た~古い一枚の写真から」にも少し書いたが、年明けから体調が芳しくなかった。右腕の不具合と高血圧(?)である。 その後…