艸砦庵だより

河村正之のページ 絵画・美術、本、山、旅、etc・・・

2022-01-01から1年間の記事一覧

旧作遠望‐4 大作‐その2

「旧作遠望」は必ずしも「大作」中心というではなく、「時系列」にこだわるわけでもないが、まあ今回は前回の流れを受けて「大作‐その2」。 前回投稿の「まなざしの中で 1・2」は研究生から博士課程在学中27~28歳のものだが、今回の3点はその少し前、修…

旧作遠望‐3 「大作について‐偶感」

5,6年越しだった実家の墓仕舞いを終え、近くに購入した墓地にようやく改葬(納骨)を済ませ、ホッとしている。 そのことと関係があるような無いような話だが、現在二ヶ所借りている作品保管場所を清算して、新たに最終(?)保管場所としての作品倉庫(土…

石仏探訪-50 余録‐「檜原村数馬」

2日前、クロモジ茶用のクロモジを採りに行くという女房の車に便乗。以前から気になっていた檜原村、南秋川の最奥の集落、数馬を訪ねた。数馬には何度も行っているが、石仏を目的としたことはなかった。 数馬には数馬上と数馬下があり、派生的な小集落もある…

石仏探訪-49 余録‐「檜原村でカモシカに会った」

少し前、11月4日の昼過ぎ、思い立ってバスに乗って檜原村へ行った。 南谷の人里や笛吹は何度も通過しているが、石仏探訪を目的として行ったことはない。ちなみに人里は「へんぽり」、笛吹は「うずひき」と読み、柳田国男を悩ませて以来の有名な難読地名。朝…

小ペン画ギャラリー‐29 「近作より」

ちょい久、二ヶ月ぶりの「小ペン画ギャラリー」。 最近の小ペン画制作ペースは、ほとんど描かない月もあれば、10点以上描く月もある。以前より画面が少し大きくなり、1点にかかる時間も増えたが、それらはまあ現象的なこと。 絵描きとしては本筋のタブロー制…

「上州紀行‐紅葉と石仏の旅」(石仏探訪-48)

群馬県在の作家O氏から電話。桐生から日光への旅に誘われた。 40年来の知り合いだが、そう深い付きあいがあったわけではない。ごくごく淡い縁。なぜ誘ってくれたのか、今もよくわからないが、これもまあ、ありがたい機縁だ。 10月18日、桐生で、彼も実行委員…

近況「山羊と『大漁地蔵大菩薩(石仏探訪-47)』と書見台」

10月某日。誘われて、あきる野市のとある山あいでの「ピザの会」。 手作りの窯で焼いたピザ、その他あれこれ、美味しかったです。私も熊汁を圧力鍋ごと持って行った。昼すぎから夜更けまで、延々とだらだらと、飲み、かつ食べた。 参加者の一組が連れて来て…

石仏探訪-46 「信州石仏探訪・その4 地味ながら侮れない塔たち」

もうこうなったら、半分意地(?しかもまだあと二つある)。信州石仏探訪・その4。 今回取り上げるのはすべて文字が刻まれただけの塔、文字塔である。地味である。パッと一目見てわかる像の美しさや、キャラクター的面白さ、彫刻美といったものはない。抽象…

小ペン画ギャラリー-28 「2年前の9月」

「小ペン画ギャラリー」の投稿は、二ヶ月以上空いた。 先日の信州の石仏探訪の際の、8~900点ほどの写真の分類・整理がようやく終わった。投稿としては、そちらを早く出したいのだが、まだ原稿書き~分析・考察にまでは至っていない。 それでなくても、ここ…

3 石仏探訪-45 「信州探訪その3 少し渋めの双体道祖神とその発生」

信州の石仏と言えば、道祖神、中でも宮廷衣装や神官装束姿の男女の神像が仲睦まじく寄り添ったタイプの双体道祖神が有名だ。だが、有名なものは見たがらないという私の趣味(悪癖)もあり、今回まわった諏訪市、茅野市ではほとんど見かけなかった。同行のCち…

石仏探訪-44 「信州探訪・その2 女神系」

神仏に男女の区別があるかどうかということになると、神道系・民間信仰系では男神女神の区別が比較的はっきりしているようだ。だが、山の神や道祖神あたりになると、地域によって諸説がある。性を問わない、持たない神も存在する。 キリスト教だと、確か天使…

石仏探訪-43 「信州石仏探訪その1 とりあえず、珍しい、面白い石仏」

先日の信州の7日間の旅のうち、石仏探訪に専念したのは二日半だが、それ以外の日も途中途中で数多くの石仏を目にした。写真に撮ったのはそれらのうちのほんの一部でしかないが、さすが石仏王国。初めて見る像、面白い像も多く、驚きと感激の連続だった。圧倒…

閑話「日本で一番小さな花火大会」+石仏探訪‐41「戸倉白山神社と乙津大戸里神社」

8月13日は近所の小和田地区の花火大会。台風接近でどうなるかと思われたが、奇蹟的に雨はやみ、30分ほど遅れて開始。 ↓ スマホのオートで撮ればこんなものか。でも昔のガラケーとは段違い。 「日本で一番小さな花火大会」と銘打った、地元自治会主催の…

「信州の山と石仏の旅」

9月7~13日、信州を旅した。蓼科、別所温泉、木曽駒ヶ岳、乗鞍岳、そして諏訪市と茅野市の石仏探訪。 前半は高校山岳部OB・OG会の仲間と、蓼科の山荘ベースの行動。 初日は天気が悪く、上田市の戦没画学生慰霊美術館「無言館」や別所温泉周辺のあち…

小山利枝子展と石仏探訪-42「元箱根石仏群」

8月30~31日、友人S夫妻と女房とで、伊豆と箱根に行ってきた。 50年近く前に、ほんの淡いかかわりがあっただけの、小山利枝子さんの池田二十世紀美術館での回顧展を見に。プラス箱根方面の石仏探訪。 会場での撮影はOKだったが、SNSへのアップは「禁止…

「旧作遠望―変位のたまゆら」

タイミングとしては「小ペン画ギャラリー」の投稿時期なのだが、物憂い。 (今日の気分としては、)飽きたと言ってもいい。「飽きる」という感覚は、創造を担保するものとして大事だ。一事専念も良いが、私は変化や流動性ということを信じ、好む。 描き終え…

小ペン画ギャラリー-27 「600点」

小ペン画が600点になった。一頃よりペースは落ちたが、コツコツ描いていれば、点数は自動的に増える。 いつも言っていることだが、私にとって小ペン画は本道ではなく、脇道。本道はタブロー(油彩・テンペラによる板絵・キャンバス画)なのだが、これは精神…

ゲルハルト・リヒター展

7月12日、夕方5時半からの予定に合わせて、懸案のゲルハルト・リヒター展を見に行った。ほぼ予想通りの内容で、2時間の予定が1時間少々で見終わった。 リヒター(1932-)の作品とその行為を見るには、ヨーゼフ・ボイス(1921-1986)とアンゼルム・キーフ…

石仏探訪-40 「裏山ワンダーランド 日の出町・白山神社」

猛暑が続いた日々、昼間はほぼ外出しなかった。暑さには弱いのだ。少し暑さが和らいだ7月6日、思い立って日の出町の白山神社(白山さま)に行った。 ↓ 参道 一応舗装されており、車で上がれるが、自転車を途中にデポし、歩いて登る。写真には写っていない…

小ペン画ギャラリー-26 「民俗・民間信仰系-2」

ここのところ山、旅、石仏、民俗的な投稿が続いた。 だが、私の本業は画家である。画家ではあるが、本道であるタブローの制作は、ここのところの暑さや諸般の情況から停滞気味。小ペン画の方も、ここのところ全く天使が舞い降りてきてくれない。 しかし時お…

石仏探訪-余録 「茅の輪作り」

近所の正一位岩走神社を通りかかったら、茅の輪くぐりの「茅の輪」を作っていた。 ↓ 近所の方数名が作業していた。ご苦労様です。 ↓ 茅(ちがや)とはいうものの、近くの横沢入で採った葦のようだ。使っているのは真新しい押切。昔実家で牛を飼っていた頃、…

小ペン画ギャラリー-25 「1~3月の近作から」

別に月一と決めているわけではないが、中一ヶ月空くと、自分の作品(ペン画)をPCやスマホの画面上で見たくなる。半ばルーティンと化した「小ペン画ギャラリー」の投稿。 今年に入ってからの小ペン画制作点数は、1月が15点、2月7点、3月18点、4月2点。…

石仏探訪-39 「足摺山三十三観音と儀軌の問題」

廃仏毀釈に関する本を読むと、私の故郷山口県はそれが最も激しかったところの一つという記述が必ず出ており、さもありなんと思っていた。ところが今年になって二度帰郷したおりに、あちこちと歩いてみれば、その説が信じられないほど数多くの石仏があった。…

山歩記+石仏探訪・38 「知られざる石仏の山 足摺山」(2022.6.3)

5月30日~6月4日、所用2件を携えて帰郷(所用の件は省略)。その一日、萩市(旧阿武郡田万川町)の足摺山に登った。出発直前にKがネットで見つけた石仏の山だが、ほとんど知られていない。私も知らなかった。急きょ、高校山岳部OB関係の5人が集まる。 …

旅のカケラ 「和歌山由良町・黒岳・重山と奈良葛城市点描」

(前後しますが、4月16日に新幹線車中からFBに投稿したもののブログ再録です。) 旅に出ています。前半、奈良葛城から和歌山由良町へ。 一日、海釣り(チヌの紀州釣り)に挑戦するも、釣果ゼロ。日に焼けただけでした。 一日は一人、近くの黒山と重山に登…

旅のカケラ「山形の旅から」(2022.5.26)

写真、カメラ、撮影が苦手なのは昔から。最近はそれでも少しは人間が丸くなってきたのか、写真を撮ることも増えてきた。だが、スマホと、コンパクトデジカメのオート以外は使えない。 写真と撮影の基本スタンスは、資料として。制作や、研究・考察のための資…

「旅の余録―旅のカケラ 奈良~和歌山~山口篇」

4月10~12日の11泊12日の旅を終え、帰京した。11泊12日はけっこう長い。 奈良県の葛城市・御所市・奈良市、和歌山県の由良町、山口県の下松市・山口市・防府市を訪れた。実家の改葬関係のミッション(これが旅立ちの理由)のほかに、3回の山行で4つの山(…

小ペン画ギャラリー-24 「世界・社会・歴史関連」

ウクライナ、ミャンマー、シリア、イエメン、等々の現在進行形の事態。 物心ついたときにはベトナム戦争。以後、カンボジア、パレスチナ、中南米、ソ連のアフガン侵攻、ユーゴスラヴィア内戦、湾岸戦争…。戦争、紛争、内戦の火の途絶えた年はなかった。時代…

石仏探訪-37 「石仏の顔(地蔵篇)」  

(記・FB投稿:2022.4.7) 石仏(石造物)との接し方には、大きく分けて三種類の観点・態度がある。 一つは、学術的というか、歴史的な観点からの接し方であり、民俗学や宗教史の観点も含む、いわば知的態度。 二番目には、美術として見る、味わう接し方。…

「山本作兵衛展」と石仏探訪-36「旦木御嶽神社の焼け仏」

(記・FB投稿:20223.14) 会期終了間際に知って、3月11日、何とか東京富士美術館に「山本作兵衛展(ユネスコ「世界の記憶」登録10周年記念)」を見に行った(13日で終了)。 閑散としているだろうと予想していたが、やけにお年寄りの客が多い。メイン展…