艸砦庵だより

河村正之のページ 絵画・美術、本、山、旅、etc・・・

2014年に行った展覧会

*以下にに記すのは基本的に入場料を払って行った美術館・博物館の展覧会である(中には無料のものもある)。寺院・教会・遺跡等も含む。一般画廊の個展等は含まない。

 

◆美術館等:国内

1.「佐藤一郎 退任記念展」 

   東京藝術大学大学美術館/1月9日 

1-2.「見ること・描くこと」 油画技法材料研究室とその周縁の作家たち

    東京藝術大学大学美術館、陳列館、大学会館展示室/1月9日 

2.「シャバンヌ展」 水辺のアルカディア ビュヴィス・ド・シャヴァンヌの神話世界

    Bunkamuraザ・ミュージアム/1月21日

3.「遠藤彰子展」 魂の深淵をひらく

   上野の森美術館/1月27日 

4.「クリーブランド美術館展」 名画でたどる日本の美

   東京国立博物館・平成館/2月12日 

5.「モネ 風景を見る眼」 国立西洋美術館×ポーラ美術館 19世紀フランス風景画の革新

   国立西洋美術館/2月27日

6.「リフレイン―反復の魔力」

   富山県立近代美術館/3月29日

6-2.「常設展・20世紀美術の流れⅠ期・モダンマスターの版画・滝口修造 夢の漂流物 ほか」

   富山県立近代美術館/3月29日

7.「パリで公開された館蔵の茶道具」

   金沢市立中村記念美術館/3月30日

8.「第70回記念 現代美術展(石川県展)」

   金沢21世紀美術館/3月30日

9.「中村一美展」 絵画は何のために存在するのか 絵画とは何なのか

   国立新美術館/4月7日

10.「明暗の旅から-闇の羅針盤 増田常徳展」

   原爆の図丸木美術館/4月11日

10-2.「常設展 (原爆の図、他)」

   原爆の図丸木美術館/4月11日

11.「ザ・ビューティフル」 英国の唯美主義 1860-1900

   三菱一号館美術館/4月25日

12.「イメージの力」 国立民族学博物館コレクションによる

   国立新美術館/5月15日

13.「ポルティ・ペッツォーリ美術館」展 華麗なる貴族コレクションン

   Bunkamuraザ・ミュージアム/5月19日

14.「バルテュス展」

   東京都美術館/6月20日

15.「佐藤時啓 展」

   東京都写真美術館/7月8日

16.「魅惑のコスチューム:バレエ・リュス展」 現代の美術・ファッションの源泉 ピカソマティスを魅了したロシア・バレエ

   国立新美術館/7月31日

17.「東北のオカザリ」 神宿りの紙飾り

   多摩美術大学美術館/9月5日

18.「ヴァロットン展」 冷たい炎の画家

   三菱一号館美術館/9月10日

19.「竹久夢二生誕130年 大正ロマンの恋と文」 ~高相コレクションより~

   三鷹市民ギャラリー/9月26日

20.「菱田春草 展」 

   東京国立近代美術館/10月23日

21.「佐藤道子 展」 ―生きる そして描く―

   龍ヶ崎市歴史民俗資料館/11月3日

22.「久保田一竹 光響 Symphony of Light」 

   久保田一竹美術館/11月29日

23.「チューリッヒ美術館展」 印象派からシュルレアリスムまで

   国立新美術館/12月6日

24.「内藤礼 信の感情」

   東京都庭園美術館/12月19日 

25.「デ・キリコ」 変遷と回帰

   パナソニック汐留ミュージアム/12月24日

 

◆美術館等:海外

1. ワット・シーサケット ビエンチャン 寺院 12月11日

2. ワット・ホーパケオ ビエンチャン 寺院 12月11日

3. パトゥーサイ(凱旋門) ビエンチャン 建築・記念碑 12月11日

4. タート・ルアン ビエンチャン 寺院 12月11日

5. ブッダ・パーク ビエンチャン郊外 OA・建造物 12月11日

6. ワット・シェントーン ルアンパバーン 寺院 12月12日

7. ワット・マイ ルアンパバーン 寺院 12月12日

8. ルアンプラバーン国立博物館 ルアンパバーン 歴史・民俗 12月12日

9. ワット・ビスンナラート ルアンパバーン 寺院 12月14日

10. 伝統芸術民族センター ルアンパバーン 民俗・染織 12月14日

11. ワット・マノーロム ルアンパバーン 寺院 12月14日

12. ワット・オントゥン+ワット・インペン日 ビエンチャン 寺院 12月14日

13. 国立博物館 ビエンチャン 歴史・民俗 12月15日

14. ワット・シームアン ビエンチャン 歴史・民俗 12月15日

 このほかにラオス伝統舞踏ショー、メコン川クルーズ(焼酎作りの村/バーンサーイハイ、パークウー洞窟、紙漉きの村、タート・クアンシーの滝)、ターゴーン/ビエンチャン郊外、など。

 

 印象に残っている良い展覧会だったと言えるのは、「シャバンヌ展」、「モネ 風景を見る眼」、「中村一美展」、「バルテュス展」、「菱田春草 展」。次いで「クリーブランド美術館展」、「常設展(原爆の図丸木美術館)、「チューリッヒ美術館展」。期待はずれというか、不満だったのは「内藤礼 信の感情」と「デ・キリコ」。これらの感想等についてはまた別の機会にあらためて記してみたい(現時点では未定稿)。

 海外(今年はラオスのみ)では、ビエンチャン郊外のブッダ・パークがおもしろかった。本来は仏教世界を一般庶民にわかりやすく見せるという、ごくまじめな主旨で造られたらしい。しかし私の印象としては、今は規模が縮小され、非公開となった香港のタイガーバームガーデン(未見)や郵便配達夫シュヴァルの理想宮を連想させるキッチュ感あふれるものとなっている。

 ↓ ブッダパーク こんな感じ

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  ↓ 同じく 

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 寺院については、ラオス東南アジア内陸国という風土に根差した固有の在り様についてはそれなりの味わい、美しさを認められるものの、それ以上ではなかった。

 それは現地ガイドと話していてしばしば出た「ラオスでは古いということに特別の価値や美しさを見出しません。古くなればそれを彩色しなおし、作り直す。なぜならばそれら(仏像や寺院建築)は美術であるよりも今現在の信仰の対象だからです。」という発言からうかがわれるように、美術と信仰に関する彼我の見解の相違によるものであろう。違う角度から言えば、古さそれ自体に価値と美しさを認める吾々日本人の美意識は、はたして世界的に見て一般的、普遍的なものであろうかという疑問を抱かせるものである。そうした美意識は、やはり一種のガラパゴス的鑑賞眼なのであろうか。それならそれで、悪くはない。むしろ世界で最も進化した鑑賞眼なのだと、言いたくもあるが。