艸砦庵だより

河村正之のページ 絵画・美術、本、山、旅、etc・・・

「ちょっとミニワイルドでミニハードだった今日の裏山歩き―金剛の滝」(2020.5.17)

 

(*最初に:本稿は山行記録というほどのものでもなく、またあまり多くの人に訪れてほしくないので、地図・ルート図は掲げません。わかる人が読めばわかると思いますので、興味のある方は、自分で地形図等を見て探して下さい。)

 

 前回の裏山歩き(これはブログにもFBにも投稿せず)から10日目。明日からまた天気が悪くなる。さほどモチベーションは上がらぬが、行かねばならぬ。ほんの少しの制作と、家事雑事を済ませて、15時頃家を出る。

 秋川丘陵を越えて金剛の滝を往復後、日向峰から沢戸橋、というのが漠然とした計画。とりあえず登り口はどこからにしようかと歩いていたら、昨秋の台風でやられた小和田グランド付近の河川改修工事をやっていた。大掛かりなものだな、などと漫然と思ったのだが、同じ台風のもたらした被害に後ほど出くわすとは、この時点では思いもしなかった。

 

 ↓ 小和田グランド付近の改修工事。右岸の屈曲部には以前は武田信玄由来の臥牛という水勢をやわらげる一種の蛇篭が設置されていたが、無力だったということなのだろう。

f:id:sosaian:20200518142742j:plain

 

 ↓ 御岳神社登り口付近の黄菖蒲

f:id:sosaian:20200518143114j:plain

 

 

 小和田の御岳神社に登る。御岳山の御岳神社の分社で、地元の人がよく手入れされている気持ちの良い小さな神社。

 

 ↓ 御岳神社境内

f:id:sosaian:20200518143247j:plain

 

 御岳神社だけあって、狛犬ではなく、大神(狼)のはずなのだが、耳は垂れているし、どう見ても犬にしか見えない。台座には昭和四十九年とある。

 

 ↓ 狛犬ではなく大神(狼)

f:id:sosaian:20200518143423j:plain

 

 ↓ 同じくその2 昭和49年

f:id:sosaian:20200518143448j:plain

 

 その脇にある小さな摂社のオオカミの方は、こちらの方がもっと古そうで、やはり耳は垂れているが、社殿前のそれよりも野性的というか、より山犬っぽい。ニホンオオカミはいわゆる狼とは異なって、山犬あるいは、より犬に近い種類という説も聞いたことがあるから、これはこれで間違いとは言えないのだろう。あちこちつぎはぎ修復だらけだが、なんだか可愛らしくて、私は好きだ。

 

 ↓ 摂社二基

f:id:sosaian:20200518143725j:plain

 

 ↓ 摂社の狛犬≒狼≒山犬。よく見るとこちらは阿吽の形になっており、これは口を開けた阿形。

f:id:sosaian:20200518143812j:plain

 

 ↓ 同じくその2 補修だらけのぬいぐるみのようだ。

f:id:sosaian:20200518143836j:plain

 

 手前の鳥居のところまでいったん戻って、順路である尾根上の部分的に簡易舗装された道ではなく、左の山腹に続く細い踏跡を辿る。はっきりとは覚えていないが、ニ三回は歩いたことがあり、いずれ主尾根に合流するはず。まもなく踏跡は二つに分かれ、下に下りそうなしっかりした左ではなく、上に向かうかすかな踏み跡の右を選ぶ。

 次第に踏み跡は薄くなり、やがて獣道と変わらない状態になる。途中に新しい痕跡の残るヌタ場があった。

 

 ↓ イノシシのヌタ場

f:id:sosaian:20200518144139j:plain

 

 藪漕ぎというほどのこともなく、歩きやすいところを選んで登れば、不安をおぼえる前にまた踏み跡はしっかりしてきて、やがて一般道に合流。予想していたところとは少しずれていたが。

 

 ほどなく金剛の滝への分岐。数年前に補修された木の階段を降りる。降り立った堰堤が滝からの沢との合流点。完全に伏流している。この一帯は私のお気に入りの場所。前にここでホラ貝の練習をしていた修験道マニアの人と会ったことがある。

 少し先で水流が現れるはずだが、そのまま河原が続き、なんと下の滝の滝壺のところまで砂利に埋もれている。

 

 ↓ 金剛の滝への沢すじ。このあたりは以前でも伏流している。

f:id:sosaian:20200518144240j:plain

 

 ↓ 滝の手前も伏流している。以前はこのあたりには水が流れていた。

f:id:sosaian:20200518144336j:plain

 

 この滝壺は小さいけれども、それなりに深さもあり、いつも岩魚が数匹泳いでいたのだが、その片鱗は全くない。毎年必ず何度かは訪れているが、こんな小さな滝壺は初めてだ。

 

 ↓ 金剛の滝下段の滝・岩魚の泳いでいた滝壺の片鱗はない。右の穴の階段から上の滝へ。

f:id:sosaian:20200518145042j:plain

 

 右側の岩壁に穿たれた、胎内くぐりといった感じの穴の階段を上る。上にあるのが金剛の滝だが、ここの滝壺もごく小さく浅い水たまりのようになっていて、驚く。

 

 ↓ 金剛の滝への階段

f:id:sosaian:20200518150012j:plain

 

 ↓ 金剛の滝全景。この滝壺も埋まっている。

f:id:sosaian:20200518150042j:plain

 

 周辺にはそれほど土砂崩れなどの様子も見えないのだが、とにかく沢筋は大量の土砂で埋まってしまったということなのだろう。

 沢や滝が土砂で埋没し浅くなるということは見たことも聞いたこともあるが、前後の状況の変化を目の当たりにするのは初めてか。浅くなるのは簡単だが、以前のような深い滝壺や水流に戻るにはまた長い期間が必要なのだろうか。それを思えば、少々痛ましい感じがする。

 周辺にあるイワタバコの花を期待していたのだが、まだ早かったのか、見えない。

 

 帰りはいったん尾根に登り返して日向峰まで行くのが、めんどうになり、そのまま沢(逆川)沿いの道で楽をしたくなった。のんびり歩いていくと、ところどころに倒木や小規模な土砂の押出がある。

 細い山道から、未舗装の林道になってほどなく、いきなり道が無くなっていた。右岸からの山抜け(土砂崩れ)で左岸の林道の擁壁が流され、道が無くなっているのだ。昨秋の台風の爪痕はこんなところにも残っていたのだと驚く。

 

 ↓ 左側が林道の通っていたところ。中ほどのラインが歪んだ擁壁。

f:id:sosaian:20200518150116j:plain

 

 ↓ 右岸からの土砂崩れ

f:id:sosaian:20200518150153j:plain

 

 ↓ 手前が林道のあった部分と堰堤の一部だった石組み。その先は擁壁のみ残って中身の一部は流出している。

f:id:sosaian:20200518150213j:plain

 

 慎重に倒木を乗り越えていけば特に問題ないが、あまり気持ちの良いものではない。あとは何の問題もなく、沢戸橋から50分ほど歩いて帰宅した。

 

 2時間半ほどの裏山歩きにしては、獣道ルート、道の消失等、けっこうミニワイルドかつミニハードな内容だったか。

(2020.5.17)