艸砦庵だより

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小ペン画ギャラリー-17 「作品No.500記念」(記・FB投稿:2021.8.17)

 「小ペン画ギャラリー」の投稿が少しとどこおっていたら、その間に作品Noが500を越えた。めでたい(??)。

 この作品番号は、小ペン画独自のカウント。従前からのタブローやドローイング作品とは別枠。付記しておけば、私にとっての「ドローイング(作品)」とは、「作品」として制作したもの。だからいわゆるデッサン(素描、クロッキーやイメージスケッチ、下図等)を私はドローンイングとは呼ばない。制作年月日は記すが、作品番号もサインも記さない。そのあたりの基準は、人によって異なるだろうが。

 

 「小ペン画」を2年ほど前のある日にふと描き出した時には、意味合い、位置づけなどは無かった。だが、数点描いてみたところでその必要性を感じ、とりあえず独自の通し番号を付けるようにし、今に至っている。開始時点においてはともかく、現在の位置づけとしては「作品」であるが、要素や性格の違いからタブローやドローイング作品とは、並行しつつも別枠での扱いとしている。

 この作品番号=通し番号を付けるというのは、私の多少のカウントマニア的性分でもあろうが、整理、作品管理の上でまことに便利なシステムである。若い時にパウル・クレーのやり方と、カンディンスキーの略図を付した手書きノート(作品台帳?)に学んだもの。(そういえばジョナサン・ボロフスキーの「カウンティング」とかいった数字を書き連ねた作品と、それにかかわるコンセプトも好きだったな。)

 

 絵日記でもあるまいし、毎日描くなどと決めているわけではないが、何回かの中断期間を挟んで、おおよそ800日で500点。こんなに数を描くとは思っていなかっただけに、私自身としては少し感慨深い。で、今回はその私的記念(?)の投稿。

 No.500は当然として、作品としての多少の見栄えやバランスのこともあるので、その前後から5点ほど選んだ。今気づいたが、5点中、4点はテレビの画像がきっかけだ。ちょっと割合が高すぎるが、たまたまです。

 

 

 ↓ 497  「移動する偶像」

 2021.8.1-7  25.1×16.4㎝ 和紙にドーサ、水彩・ペン・インク・コラージュ

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 ☝ チラッと観た、南米のどこかでの祝祭。先行する土着的宗教と習合したキリスト教の飾り立てられた聖母マリアの像が町中を練り歩くといったシーン。

 キリスト教であれ、仏教であれ、およそ文化宗教とよばれるものの始祖たちは偶像崇拝を禁止するが、民衆は納得しない。眼に見えないものは信じられないということ。その視覚体験を通じてのエクスタシー(法悦)が人々の生きる力に転化する。ゆえに偶像とはアイドルであり、(ア)イコンでもある。

 

 

 ↓ 499 「若き敗者」

 2021.8.6-7  21×15㎝ 水彩紙に油彩転写・水彩・ペン・インク

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 ☝ はっきり言ってオリンピックネタ。わかる人にはわかるだろうから、これ以上のネタ晴らしはしないでおこう。わからなくても全く差し支えありません。タイトル通り。再現的意図はまったく無いけど、私としては今回のオリンピックで最も印象に残ったシーン。

 それにしても、オリンピックを絵のモチーフにするとは、私も変わったものだ。

 

 

 ↓ 500 「ある羽球選手」

 2021.8.6-7  19.6×15㎝ 和紙(徳地)にドーサ、油彩転写・水彩・ペン・インク・色鉛筆

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 ☝ これもオリンピックネタ。ある選手のインタビューから(ほとんど似ていません)。私的には面白い感じで描けていたのに、残念ながら口の端が左右1.5㎜ずつ長くなりすぎた。修正してもよいのだが…。

 

 

 ↓ 506 「人形つかい

 2021.8.11-12 21×15㎝  水彩紙に水彩・ペン・インク

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 ☝ NHKBSで観た江戸時代から続くという人形劇団結城座にインスパイアされて。

 まったく観たことがない、いわば異文化体験として、勉強のつもりで観始めた。だが、部分的には面白いところもあるのだが、全体としてはどうにも退屈という印象。言葉もよくわからないし。やはりガマンしてでも何度も見て、慣れ、そこに前提として在る異文化のルールといったものを理解しないと、楽しめないのだろう。歌舞伎やオペラなどがそうであったように。

 演目は八百屋お七というから、14歳ぐらいの火あぶりにされた少女の恋の物語だが、むろん本作の絵柄はそれとは全く異なる異次元的解釈。 

 

 

 ↓ 507 「人みな傾きて在る」

 2021.8.12-14 21×15㎝ 水彩紙に水彩・ペン・インク

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 ☝ 2,3年前のイメージスケッチから引っ張ってきた。内容というか、解釈はご自由に。特に言うべきことはありません。今、思いました。あれっ?下の方、もう少し描き込んだ方が良いかな?

 ここのところ、少し前のスケッチブックの中から題材を拾ってくることが時々ある。その時点で作品化しなかったのだから、今さらというか、何となくセコいかなとも思ったが、考えてみれば、たとえばその時にタブローには向かなかったものを、別の素材や形式であらためて表現するというのは、悪いことではない。いわば見逃していた地下鉱脈を再発掘するようなもの。そもそも新しいイメージ(=天使)が毎日訪れてくれるとなどというのは、なかなか難しい。以前のスケッチブックの中に天使が眠っているということもある。

(記・FB投稿:2021.8.17)