タイミングとしては「小ペン画ギャラリー」の投稿時期なのだが、物憂い。
(今日の気分としては、)飽きたと言ってもいい。「飽きる」という感覚は、創造を担保するものとして大事だ。一事専念も良いが、私は変化や流動性ということを信じ、好む。
描き終えた作品に執着する度合いは、あまり強くはないと思っている。それはそれとしても、過去の先品を自分で保管するにも限りがある。少しずつ処分することも考えなくてはいけない今日この頃。
そんなあれこれの思いと微妙に重なりつつ、旧作遠望。
↓ T.20 「変位のたまゆら/for a moment in transition」
1981年 F40/80.3×100㎝ 膠塗り麻布に樹脂テンペラ
26歳、大学院修士課程在学時。テンペラ、特に樹脂テンペラの使い方の習熟に勤しんでいた頃のもの。言い換えれば、「何を描くか」よりも「どう描くか」に重心があった。
作品の意味合いやイメージとしては、われながらまことに語りにくい。
わかりやすいイメージやコンセプトを拒否し、わかりにくいからこそ、それを(わかろうとして?)描くのだという、やや逆説的な価値観やベクトルを最初から持っていた。したがって、具象や抽象や現代美術といった分類概念とはあまり縁が無かった。
タイトルの「変位のたまゆら」というのも、苦労した割には、あまり意味が明瞭ではない。Google翻訳にかけてみたら「Displacement Tamayura」となって、つまり翻訳不可能。少し工夫してみて「for a moment in transition」というもの。
ルドン、その他からの影響は容易に見て取れようが、そんなことはまあどうでも良いのである。地塗り層を施さず、樹脂テンペラだけで描いているということもあって、色調は少し変わって(褪色して)いるが、それも含めて、珍しく今でもけっこう好きな作品の一つ。
(記・FB投稿 2022.8.25)