艸砦庵だより

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近況「山羊と『大漁地蔵大菩薩(石仏探訪-47)』と書見台」

 10月某日。誘われて、あきる野市のとある山あいでの「ピザの会」。

 手作りの窯で焼いたピザ、その他あれこれ、美味しかったです。私も熊汁を圧力鍋ごと持って行った。昼すぎから夜更けまで、延々とだらだらと、飲み、かつ食べた。

 参加者の一組が連れて来ていた山羊二頭。手作り山羊チーズは、ワイルドな風味で美味しかった。

 写真の山羊は雄で、当日(?)角を切られたばかり。最近発情期(?)のせいか、角突き合わせて戦うので、ケガをするのを恐れて、角を切ったばかりだとか。山羊の体のところどころが赤いのは、その時の血の跡。

 

 ↓ 呼んだわけでもないが、すり寄ってくる。というか、ぶち当たってくる。

 顔が赤いのは、すでに飲んでいるから。ご容赦を。

 

 妙に人なつっこい山羊で、ぐいぐいとすり寄ってくる。飼い主のお子さんもすり寄ってくる。孫ではないが、私もたまにはこんな表情になる。

 

 ↓ そうかそうか、うんうん。

 おや、この子もすり寄ってきた(そういえば名前を聞いたけど覚えていない)。

 

 ↓ みんな良い顔。

 

 

 以下、関連があるような、ないような。

 ピザの会の少し前に、同じ地区にある天王岩に行った。天狗岩とも言い、その名前の混同と私の思いこみから場所がわからず、長く探していた。知ればあっけない。平日でもクライマーがいる。

 すぐそばの地蔵堂のある広場が本命。かつて火葬場だった場所で、今は小さな地蔵を安置した御堂と文字塔がある。「天王山大漁地蔵大菩薩」、名前にびっくりする。何はともあれ、一つ課題に辿り着けて、うれしい。これを探していたのだ。

 

 ↓ 天王岩そばの地蔵堂(?)全景。

 本尊の地蔵は安永4/1775年のもの。刻字からすると、もともとは二人の女性を供養したものだったようだ。

 御堂の篆書の扁額が読めない。「地蔵堂」というよりも右の字を「龍」と読みたくなるが、「龍神堂」ではない。「龍化堂」??「龍化」という言葉はあるようだが、今一つ信用できない。どなたか読み方を教えて下さい。

 

 ↓ 「天王山大漁地蔵大菩薩」と刻まれた石塔。

 平成16/2004年。素人の刻字、機械彫り。裏面には「寄」以下、建立者6名の氏名。

 下には釣竿釣糸と釣られた魚が彫られている。けれん味はあるが良い石で、全体としては悪くないが…。開眼供養とか、したのかな?

 「天王山」は場所から、「地蔵」はもとからあっただろう小さな地蔵に由来するとして、「大漁」はなんだ?と思ったら、御堂の奥の木札で解明した。

 

 ↓ 御堂を改築した時の木札。「天下泰平 家内安全 佛日増輝 交通安全」は良いとして、「釣行安全 釣場繁栄」で???となる。願主として「秋川漁協組合長 ○○○ 軍道自治会長 ○○○○」とあり、なるほどと、何となく経緯がわかるような気がする。まあ、気持ちもわからなくはない。

 ↑ そうですかというところだが、そばにあるフィッシングセンターには以前から疑問を持っている。川全体を餌釣りとか、フライフィッシング専用とかエリアを決めているのだが、要するに現実的には占有しているのだ。商売ではあるが、日本では川(と川原)は私有できない(海岸も同様)はず。しかし、入漁料を払った人以外は実質立ち入り禁止である。釣りはしないが、川原歩きをしたい人だっている。しかし、実際にはとてもできる雰囲気ではない。私有地・私有制と公共性。岩登りの対象としての天王岩(私有地)も含めて、少々悩ましい問題ではある。

 

 

 その後の探索で、上流右岸に、地図に出ていない小さな神社を見つけた。新しい石碑には八坂神社とあるが、文政7/1824年の石燈籠には「奉納天王宮」とある。全国どこにでもある話。廃仏毀釈以前は牛頭天王を祀った天王社だったのだ。そこから天王岩の名がついた。元火葬場のそばだからとて「涅槃岩」と称する輩もいるそうだが、少々失礼だろう。

 

 ↓ その後近所で発見した八坂神社=天王宮。これが天王岩の名の元。ほとんど車の通らない裏道側にある。懐かしい良い雰囲気の神社。今でもよく手入れがされている。

 

 

 こんな最近だが、上記の場をからめつつ、あれやこれやといくつかの大事な案件・事態が、並行ピンボール状態で同時進行していて、忙しい。行かねばならなかった展覧会もいくつか失礼してしまった。申し訳ないが、仕方がない。明日からまた旅に出る。

 

 ↓ 深夜、そんなことを考えながら、上述の事とほとんど関係ないが、ほんの少しだけ関係があるMちゃんから借りた詩集を読む。借りたというか、強引に読んで下さいと押しつけられたもの(失礼)。私には未知の詩人だが、読んでみたら良かった(さすが)。ありがとう。自分でも欲しくなりそうだ。あと二冊ある。

 右、焼酎のお湯割り。細かいところは見ないでね。

 

 ↓ ふだんの読書コーナーは食卓の一画。

 深更、制作を終え、筆を洗い、居間に降りる。食器洗いを終え、風呂に入って、一杯飲みながら、本を読む。

 読書用ライト。読書用メガネ。煙草とライター。傍らには並行して読んでいる本が常にこの小山状態。なかなか減らない。今日はこの書見台を使う。

 文庫本なら片手でいいけど、ハードカバーの束の厚い本だと、この書見台が便利。こんなもの、と思っていたが、使って見たら、役に立つ。金属タイプのも買ったが、そちらも良い。絵描きには腱鞘炎気味の人が多いが、そういう人にはお勧め。

 

(記・FB投稿:2022.10.16)