艸砦庵だより

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個展「耀ふ静謐」 レポート―3

674「崩壊と忘却の静謐」と675「豊饒と忘却の静謐」について。
そして「SALIOTの照明について。

 

 ↓ 675「豊饒と忘却の静謐/Quietness of fertility and oblivion

  (F300 2014-2016年 自製キャンバス/樹脂テンペラ・油彩)

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 この画像はアトリエで大山富夫君に撮影してもらったもの
 よく見ると左右の輪郭が歪んでいるのは、彼のせいではなく、木枠自体が反っているためです。私はキャンバスは自分で麻布を張り、膠を塗り、地塗り塗料を作ってそれを塗ります。その作業は湿度の高い6、7月ごろに行います。湿度の低い季節には画面はパンパンに張り、それを受けてこのように木枠が反るのです。逆に乾燥した季節にキャンバスを張ると、湿度の高い季節には、画面がたるんでしまいます。
 小さな画面であればほとんど影響はありませんが、300号のようなサイズになるとかなり影響が出るので、注意が必要となります

 

 ↓ 674「崩壊と忘却の静謐/The silence of collapse and oblivion

  (F200 2014-2015年 自製キャンバス/樹脂テンペラ・油彩)

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 この作品と675「豊饒と忘却の静謐」は並行して描いたもので、ペアではありませんが、相補的な関係にあると言えます。
 両者に共通して在る、レイヤーのような25個のアルファベットと数字について多くの人から質問を受けます。
 それはこの作品におけるメッセージに近い、より正確に言えばコンセプト、私の思想と世界観を見る人に届けるための仕掛けです。読み解いてもらうための道標、あるいはヒント。ですから少しだけわかりにくいヒントにしてあります。
 たぶんそれを読み解けなくても、絵としての美しさ(?)を味わっていただくには差し支えないと思いますが…。
 まあ、とりあえず、ここではここまでにしておきましょう
 いずれ24日のトークショーで話題になるでしょうし。

 

 ↓ 作品を見ているうちに、光が変化しはじめます。1サイクル30秒ほどにセットされています。

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 ↓ 絵の中央が発光するかのように見えます。そしてほどなく、平常の昼光色に戻ります。
他にも多様な変化の設定が手元のタブレットから可能だということです。(激しくやればジュリアナ東京状態?も可能。~それも一度見てみたいけど…)

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 ↓ そんな変化の一瞬の記念撮影。

まあそんな感じの光=照明の可能性を見せてくれるSALIOTです。
註:光って見えるのはフラッシュではありません

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個展「耀ふ静謐」 レポート―2

5月3日に始めたばかりのフェイスブック/FBとブログの関係がまだうまく構築できていないのだが、とりあえず、FBに上げたものを一応ブログに再録しておく。

レポート―1と2は、個展の紹介というのが趣旨だったから、カテゴリーとしては「近況・NEWS」でよいのだが、3以降は作品紹介が趣旨としてはメインになるのし、また個展そのものも終わったことだし、カテゴリーとしては「逍遥画廊/Gallery Wandering」に移行した方が良いと思う。

若干混乱はあるかも知れないが、御了解のほどを。

 

以下、5/19にFBに上げたものの再録。

 

今日は日曜日で会場も私もオフ。やっと会期も折り返し地点です。
これまで来ていただいた方、ありがとうございました。
来ていただいたけど会えなかった人、すみません。毎日朝から詰めているのは、なかなかしんどくて、大体15時前後には会場に行くようにしていますので、御了解を。(中一日ぐらいは休みたいし…)
会期はまだ一週間あります。24日17時からは秋元雄二氏とのトークショーも予定されています。
ぜひ、見に来てください。

 

 ↓ 入り口を入ったところから奥を見る。左右に4つの金色の構造物。それぞれに作品が展示してある。その奥にさらに空間がありそうな。

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 ↓ 近づけば、何やら奥の院めいた明るさと広がりが…。

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 ↓ 近づけば、何やら奥の院めいた明るさと広がりが…。

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 ↓ もう少しちかづいて。
左上、437「青の光」(F130 2003-2004年 自製キャンバス/樹脂テンペラ・油彩)。
左下、617「浦圖-澪つくし」(F120 2012~2013年 自製キャンバス/樹脂テンペラ・油彩)。

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 ↓ 同じく、もう少しちかづいて。
左、525「そらのはな」(F150 2008~2009年 自製キャンバス/樹脂テンペラ・油彩)

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個展「耀ふ静謐」レポート ―1

個展「耀ふ静謐」レポート ―1

 

 今回の出品作を何回かに分けて、すこしずつ紹介してみます。

 遠隔地で見に来られない方もいますし。

 

 ↓ SALIOT入口 周辺はビジネス街。道行く人はビジネスマンとキャリアウーマンばかり。

SALIOT=ショールーム=ビジネス・商談の場なので、普段は一般の通りすがりの人は直接には入れません。

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 ↓ 入り口を入るとこんな感じ 

 左、作品749「モロッコのバラ」(22.4×27.2㎝ 2017~2018年 シナベニヤパネル/彩墨・アクリル・アッサブラージュ)

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 SALIOTは全体が4つの大きな金色の造形物ごとに、4つのコーナーに分かれています。STUDIO RETAIL DINING そしてGALLERY。
 まず今回はRETAILのコーナーから。

 ここはそこに入るのに、これぞ迷宮的、メディナ(旧市街)的といった狭い通路の奥に、ブティックをイメージした空間があります。今回は普段そこに置かれているマネキンや洋服をそのまま置いてあります。

 *この入り口を見つけられずに、見落とされた人もいますので、要注意。

 

 ↓ RETAILへの迷宮=メディナ的入り口

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 ↓ RETAILへの迷宮=メディナ的通路 

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 ↓ RETAILの内部

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 そこに私の作品をどう置くか、さて。

 

 ↓ RETAILの内部 その2

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 画廊・美術館的ホワイトキューブではない空間ということが前提の展示なので、なるべく元の雰囲気をとどめようということで、多少のグッズは残置。

 商品棚に作品を置いてみる。

 

 ↓ こうした陳列棚が2か所あります。普段はブティックの商品をイメージしたグッズが置かれていますが、そこに私の作品を設置。元の商品も少しお借りしたりして。
左は作品696「装飾(ひびきと光)」(71.3×52㎝ 2016年 台紙に薄和紙/鉛筆・セピア・アクリル)、下手前は作品700「憧憬と記憶」(34.5×47.9㎝ 2016~2017年 水彩紙に和紙/鉛筆・彩墨・アクリル・セピア・コラージュ)。

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 ↓ もう一つの棚。
左奥590「黒曜石の宇宙儀-2(水晶の森)」(20.4×20.4×2.5㎝ 2011年 桐箱/アクリル・コラージュ・アッサンブラージュ・蜜蝋)、手前755「瓔珞のをみなたち-1(霧の滴)」(25×18㎝ 2017年 パーティクルボードに麻布/樹脂テンペラ・油彩)、右上578「三月の蝶」(16.9×23.4×4㎝ 2011年 木・段ボール箱/アクリル・油彩・樹脂テンペラ・コラージュ・アッサンブラージュ *周りの白い部分は昔初めて買ったケータイ電話の入っていた箱)。

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以下、作品の一部を紹介。

 

 ↓ 作品687「世界函-青(山繭などが形成される夜)」

2014~2018年 25.8×16.9×3.2㎝ 木箱(桐)/アクリル・アッサンブラージュ)。
〇左上段の桝は、展覧会チラシに載っていた有名な写真家の作品の一部。その後ろのロシアイコンの印刷物はサンクトペテルブルクの教会で買ったもの。

〇左下段の桝、左はヨセミテで拾った地衣類と骨董市で買った目薬(?)の小瓶。

〇中央上段はどこかの海岸で拾った巻貝と丸善かどこかのミネラルフェアで買った小さな蛍石

〇中央中段の繭は近所の裏山歩きで拾ってきた天蚕とウスタビガの繭。

中央下段の桝は茨城県利根町で表面採取した縄文土器断片と40年ぐらい前に甲府市で買ったブラジル産アズライトボール。他の桝にあるのも同じアズライトボール。

〇右上段の桝はインドかスリランカで買った型物のミニ仏像。

〇右下段の桝は裏山歩きで拾った蛾(種類不明)の繭とチュニジアで拾った植物の種子と猟銃の薬莢。昔の山仲間からもらったもの。

〇各桝のある白いものは蜜蝋(+パラフィン等+油絵具)。箱は佃煮の入っていた桐の箱にアクリルで着彩、蜜蝋拭き込み仕上げ。

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 ↓ 作品752「逃げる女」

  (25×18㎝ 2017~2018年 パーティクルボード/樹脂テンペラ・油彩)

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 ( ↑ 何処から逃げるのか?、何から逃げるのか?)

 

 ↓ 作品753「胡旋舞 -あるいは絶望のダンス」 

  (25×18㎝ 2017~2019年 パーティクルボード/樹脂テンペラ・油彩)

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 ( ↑ 何に絶望しているのか?)

 

 ↓ 作品735「月の窓(晶夜)」

(2016~2017年 29.7×21㎝ シナベニヤパネルに和紙/アクリル)
左右で支えているのはふだんここに置かれているものを借用しました。 

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トークショー(トークバトル?)のお知らせ

トークショートークバトル?)のお知らせ

 

5月24日金曜日17時より会場SALIOTにて秋元雄二氏(東京藝術大学美術館館長)との対談(トークショートークバトル?)を行います。

 

これは13日のオープニングレセプションの席でのやり取りが発展して、急きょ実施することになったものです。


予想外の展開に少々戸惑いもありますが、私の人生訓「積極的に流される」にのっとって、その場に臨んでみようと思います。

 

急な話ではありますが、お時間ございましたら聴きにきてください。

 

 

 ↓ 秋元雄史氏のFBより

 いま個展開催している河村正之さんとトークショウやります! ぜひ来てください!

日時: 5月24日 (金) 17:00〜18:30

場所: SALIOT (サリオ)ギャラリー
〒108-0073 東京区三田3-12-14

展覧会の会期は、
5/13-5/25 11:00-19:00

  

 ↓ こんな感じでトークショーの話が急きょ決まりました。 f:id:sosaian:20190516163105j:plain



 

個展が始まりました

 つい一週間ほど前からフェイスブックを始めました。

 始めたいきさつはまあ多少あるのですが、それはひとまず置いておいて、とりあえずはFBの速報性と広がりに今さらながら驚いています。

 それと同時に、FBのリテラシーやルールを学習しつつ、ブログとFBの棲み分けなどについても考えながら試運転中。

 じっくり書くという意味では軸足はブログだと思っています。

 ただしその分どうしても速報性には欠けるという点は否めません。

 FBはやっていてもブログは見ないという人、その逆の人もいます。

 そうしたバランスを勘案しながら、とりあえず、ブログ版で個展開始後の第一報です。

 

以下本題

 

 昨日個展が始まりました。
 オープニングレセプションには多くの人に来ていただき、感謝です。
 会場の様子もアップしたいのですが、その時間、余裕が持てず、とりあえず女房が自分のFBにあげたものをシェアさせてもらいます。

 オープニングレセプション当夜は飲みすぎて、終電に乗り損ねたようなアンバイでして・・・。

 

 

以下、女房のFBより

 

「河村正之個展始まりましたー」

 

おかげさまでオープニングパーティーも盛況のうちに無事終了しました。ありがたや〜*・゜゚・*:.。..。.:*・'(*゚▽゚*)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*

最後は芸大美術館館長の秋元さんとギャラリートークの様な感じとなりみんなの興味に火が付きかけたところで時間切れとなったので、再度ギャラリートークバトルが開催されるようです。

 

  ↓ こんな感じから後日のトークショーに発展?

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実は私もこのSALIOTギャラリー初めて行ったんですのよ。
かなり広い!金色の迷宮が入り組んで各小部屋に誘われるような感じ。その不思議空間に小品から300号までの作品が50点展示されています。

 

 

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 こちらを運営しているミネビアミツミという会社、創業者は戦争中B29の部品を拾い、コレは売れると確信して戦後アメリカに渡りその会社に入り勉強しというとこからスタート。今ではその会社を買収し、年商1兆円、全世界で従業員10万人の会社に育ったんですって(°▽°) 22ミリベアリングでは世界シェア70パーセントだそうです。ヒョエ〜全然知らなかった💦

で、3年前からその技術力を生かして照明部門を設立。東京国立博物館に採用されるなど着実にシェアを広げているようです。
アートとのコラボをもっと広げて行きたいそう。
そんな最先端の照明で照らされて作品達は、輝きを増しています。25日までやっています。

 

  ↓ 例によって女房手作りのおもてなし(?)パーティー料理 あとは主にホカ弁(笑) 

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『美術の窓』5月号に記事が出ました。

 雑誌『美術の窓』5月号に「PREVIEW」として個展が紹介されています。

 

 4月20日に発売されていましたが、このブログにもFBにも、何となく紹介するのを忘れていたというか、怠っていました。

 何か宣伝するみたいで、といっても宣伝しているというか、宣伝しなければ意味がないのですが。
 なんにしても美術雑誌に載るのは実に久しぶり…。

  

 同誌には井田幸昌君が「新世代のアーティストが語る」として、同じく秋元雄史君が「評論家・学芸員が選ぶ注目の新人14」として出ています。野見山先生の「アトリエ日記」も連載中。

 なんだか、世間は狭い。

 

 ともあれ、いよいよ明日から始まります・・・。

 

5月13日(月)―25日(土)日曜日休み
SALIOT 港区三田3-12-14ニッテン三田ビル1階

 

 

  ↓ カラー見開き2頁。図版4枚。けっこう豪華だ。

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   ↓ 『美術の窓』生活の友社発行

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     ↓ 記事部分

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個展「耀(かがよ)ふ静謐」 展示作業終了 間もなく始まります。

個展「耀(かがよ)ふ静謐」(SALIOT 5月13~25日)の搬入と展示作業が二日間かけてようやく終わりました。(アライ君、タドコロ君には深謝)

 

 ↓ 想定外の二段掛けを提案された。やはり私のことを良く知っている有能な助っ人がいるということは、大きい。彼の提案で自分を更新する。

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 ↓ 大作は外部の専門家とスタッフで作業。

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 今日10日はコラボの一環として、SALIOTスタッフによる照明設定作業が進行中。私はオフです。

 

 三日かけての展示準備。おおよそは予定通りに進みましたが、巨きな、金色の迷宮空間に置かれた私の作品がどのように機能するのか、まだ冷静には見えてきません。

 

 ↓ 黄金迷宮の一画

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 13日月曜日オープンの日に、あらためて相まみえるのが、楽しみなようでもあり、こわいようでもあり。

 「画家は作品の背後に身をひそめる」などと、言い逃れるわけにもいかない、個展オープニング…は間もなくです。

 

 御高覧、よろしくお願いします。   

 

 ↓ ここはDININGのコーナー 曲面の壁に平面作品を設置。

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                            (2019.5.10)