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艸砦庵だより

河村正之のページ 絵画・美術、本、山、旅、etc・・・

モロッコ・チュニジアの旅 7 マラケシュ・3日目

 

2月5日 マラケシュ・3日目

 この日行ったのは以下の五か所。

 ①マジョレル庭園+ベルベル美術館+イブ・サンローラン・ギャラリー

 ②アグノウ門

 ③サアード朝墓墳群

 ④エルバディ宮殿+ギャラリー「MMP+展」

 ⑤伝統工芸館

 

 ①マジョレル庭園はメディナの外、新市街にある。あまり期待していなかったのだが、かなりおもしろかったというか、良かった。庭園そのものは「1920年代にアール・デコの画家ジャック・マジョレルが造園、彼の死後、イブ・サンローランが買い取って修復、経営」したとのこと。

 Jacques Majorelleという画家は知らなかった。館内に一点彼の作品が展示してあった(と思う)。帰宅後調べてみたら、なるほど「オリエンタル・ペインティング」という言葉がぴったりという感じである。時代的には確かにアール・デコの時代だが、彼の作品はタブローであることからして、デコ(=装飾)ということからは若干のねじれが生じざるをえなかったように思われる。イラストレーション性、風俗性が強く、そのために同時代の他の画家と比べて美術史的な評価はやや低いと思われるが、どうであろうか。ただし作品そのものは上質なものである。

 ともあれ、その庭園は「フランス(人)の眼差したオリエンタリズム」である。庭園の各所に設置された柱などに使われている強烈な青の美しさ。イメージとは確かに見る人が創り上げるものであることを思い知らされる。そこに植栽されている竹やサボテン、椰子などと相まって、ここだけにしか存在しない、彼だけの「オリエント」が創られている。

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 庭園の中にあるベルベル美術館は名前の通り、ベルベル人北アフリカ先住民)を中心とする多様な民具、工芸品を展示している。それら収蔵品の質はきわめて高く、よほど厳しい鑑賞眼によって蒐集されたもののように思われる。また見せ方、展示方法も今回の旅の中で断トツの素晴らしさであった。アジア、中近東では往々にして、展示物そのものの良さにもかかわらず、展示の仕方がお粗末な場合が多いのだ。撮影は禁止だが、比較的充実した図録が販売されている。

 ここにはもう一つイブ・サンローランが描いた作品(版画、イラストレーション)を展示したギャラリーがある。私個人としてはファッションの世界にはあまり興味を向けていないので、まああるからついでに、というぐらいの気持ちで入ったのだが、なかなか良い作品群であった。マチスの切り絵とジャン・コクトーを足して2で割ったという感じはするが、イブ・サンローランらしさもあり、何にしても美しく、センスの良いもの。さすがである。いまさらながらフランスの美意識の奥深さを感じる。

 

 ↓ こんな感じ。額のガラスの反射が映っていて見苦しくてすみません。

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 次いで②アグノウ門を通過して、③サアード朝墓墳群へ。中は静寂と平安の空間。

  ↓ お墓です。

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 その後現王宮あたりをウロウロしたあげく、ようやく④エル・バディ宮殿に辿り着く。広大な空間の廃墟。復元された地下牢。コウノトリの巣。城壁越しに遠望される雪のアトラス山脈が素晴らしい。ここはその一部がギャラリーになっており、「MMP+展」という写真展をやっていた。歴史的写真と現代写真の並置。

  ↓ コウノトリの巣です。

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 ⑤伝統工芸館はようするに伝統工芸の実演付おみやげショップということで、とくに言うべきことなし。

 問題はその後で、二日間通いなれたはずのホテルへ帰る道がどうしてもわからない。30分で帰れるはずがさんざんさまよって2時間近くかかった。何度も同じところを行き来しては同じところに戻る、まさに迷路の魔に取り付かれたようだった。メディナ、おそるべし、である。

 ↓ 迷い続ける吾々を見守り続けていた路傍のアート。メッセージ等はわかりませんが、さすがに何度目かにその前を通り過ぎるときはちょっと恐くなりました。

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